■HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point(危害分析重要管理点方式))
ルーツはNASAと有人宇宙飛行用食糧を製造するピルズベリー社が契約を交わした、1950年代末にさかのぼります。
アメリカ合衆国政府は、宇宙飛行士によって消費される食糧のために厳密な安全基準を設定しました。
その結果ピルズベリー社は、食品安全危害の発生を防ぐプロセスを開発しました。
この概念は、危害分析重要管理点つまり、HACCP「Hazard Analysis Critical Control Point」と命名されました。
原材料生産から製造加工、食品貯蔵および流通によって潜在的食品危害の発生を防ぐために使用されることを目指しています。
HACCPは、それ単独で機能するものではなく、包括的な衛生管理システムの一部であり、HACCPシステムを効果的に機能させるためには、 その前提となるSSOP(標準衛生作業基準:衛生的な作業標準)、GMP(適正製造規範:施設、設備面の必要条件)が必要となります。
従来は「食品の安全性」とは、製造する環境を清潔にし、きれいにすれば安全な食品が製造できるであろうとの考えのもと、 製造環境の整備や衛生の確保に重点が置かれてきました。そして、製造された食品の安全性の確認は、主に最終製品の抜取り検査 (微生物の培養検査等)により行われてきました。 抜き取り検査だけの場合、危険な食品が、市場に出て食中毒を引き起こす可能性を排除することができません。
これに対してHACCP方式は、これらの考え方ややり方に加え、原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、 あらかじめ危害を予測し、その危害を防止(予防、消滅、許容レベルまでの減少)するための重要管理点(CCP)を特定して、 そのポイントを継続的に監視・記録(モニタリング)し、異常が認められたらすぐに対策を取り解決するので、 不良製品の出荷を未然に防ぐことができるシステムです。
■HACCPの基本 12手順(7原則)
HACCP導入12手順(7原則)に沿って、製造(生産)現場で洩れなく継続・安定的に、且つ安全・効率的に実践出来るように、 “一般衛生管理基準”をどの程度反映して7原則を実践して行くのかを示す全体像の文書化とも言えるマニュアル化 (含検証・内部監査手順)と、その全体マニュアルと連動した作業個別ごとの作業手順書・点検表・記録簿等の作成・試稼働が 必要となります。
1.HACCPチームの編成食品安全に関し、まとめ役となる人を決める。
2.製品説明製品についての情報を明確にする。
3.使用目的の特定製品はどのような用途で作られ、どのように食べられるのかを明確にする。
4.工程図の作成製品の製造工程を明確にする。
5.工程図の現場検証工程図と実際の現場が一致しているかを検証する。
6.危害を分析するすべての潜在危害をリストアップし、危害分析、管理方法の決定を行う。(原則1)
7. 重要管理点設定重点的に管理する点を設定する。(原則2)
8. 各重要管理点の管理基準設定管理基準を設定する。(原則3)
9. 各重要管理点のモニタリングシステムの設定測定方法を設定する。(原則4)
10.発生しうる逸脱に対する是正処置の設定改善措置を設定する。(原則5)
11.検証手順の設定検証方法を設定する。(原則6)
12.記録保存と文書化方法の設定記録の維持管理、文書化について決める。(原則7)
■HACCPのマネジメント
これらのマニュアル等の文書作成で肝心なことは、“システム・マネジメント”の原理・原則「5W1H」です。
・Why(理由・目的) |
と |
・Plan(計画) |
が効果的に且つ効率的に網羅されていること。